人と人をつなぐ「たすき」となり
人事労務管理全般をサポートします
にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和4年4月号(No.29)
【令和4年 雇用保険料率の変更】
今月号では「雇用保険料率の変更」について情報提供させていただきたいと思います。ここ数年間、コロナウイルス感染症の影響により雇用調整助成金申請の増大など雇用保険に関係する財源は一気に枯渇しました。そのため引き上げが予想されていた雇用保険料率が令和4年度で変更されることになりました。
【変更前】令和4年4月までの雇用保険料率は以下のとおりとなっていました。
①一般の事業 合計 9/1000(労働者負担 3/1000 事業主負担 6/1000)
②農林水産・清酒製造の事業 合計 11/1000 (労働者負担 4/1000 事業主負担 7/1000)
③建設の事業 合計 12/1000 (労働者負担 4/1000 事業主負担 8/1000)
【変更後】令和4年4月から9月までの間の雇用保険料率が以下のとおり変更となります。
①一般の事業 合計 9.5/1000 (労働者負担 3/1000 事業主負担 6.5/1000)
②農林水産・清酒製造の事業 合計 11.5/1000 (労働者負担 4/1000 事業主負担 7.5/1000)
③建設の事業 合計 12.5/1000 (労働者負担 4/1000 事業主負担 8.5/1000)
【変更後】令和4年10月からは労働者負担、事業主負担ともにアップして以下のとおり変更となります。
①一般の事業 合計 13.5/1000 (労働者負担5/1000 事業主負担8.5/1000)
②農林水産・清酒製造の事業 合計 15.5/1000 (労働者負担6/1000 事業主負担9.5/1000)
③建設の事業 合計 16.5/1000 (労働者負担6/1000 事業主負担10.5/1000)
注意すべきは、保険料率が年度内で2回に分けて変更が行われる点、特に令和4年10月からは労働者負担、事業主負担ともに増える点ではないでしょうか?毎年 7/10 までとなっている年 1 回の労働保険料申告ですが、今回概算保険料については令和4月から9月までと10月から令和5年3月までとそれぞれの保険料率で計算する必要が発生しますので早めの計算や準備が必要になるかもしれません。
ちなみに「3月まで」というのは 3 月最後の賃金締め日に合わせて算出することが労働保険料では基本と考えられています。【例】末締めの事業所であれば、支払いが当月であろうと翌月であろうと 3/31 勤務までが旧保険料率、4/1 勤務以降は新保険料率、20日締めの事業所であれば 3/20勤務までが旧保険料率、3/21 勤務以降は新保険料率で計算する必要があります
【ものづくりに対する思い】
今回、昨年より経営相談業務で知り合いになった事業所さんのお話をさせていただきます。そこはいろんなハンデをお持ちである方の就業を支援しているところで、私が初めて見学させていただいた時は、観光地で販売されている箱に入った土産物の「お菓子を仕切るための紙」を手作業で折っていました。
箱本体については機械で完成させることはできても、中の商品がずれないようにするための仕切りは人間の手が必要とされているとのことで、箱に手作業で完成した仕切りを加えて、さらに商品を入れてからフィルムでラッピングすることでお店に並ぶお土産が完成するという一連の流れを見学させていただきました。
また別の日には百貨店で販売するためのバレンタインチョコの箱の中に入れるための仕切りを丁寧に折って完成させる作業も見学させていただきましたが、そこの事業所で働いている方はみなさん真面目で元気にあいさつをしてくれてとても気持ちが良かったです。社長さんの話では、そこでの作業を長年続けている方やそこでの経験を活かして新しい会社やお店に就職される方、また中には就職先から再びこちらに戻ってく
る方など、いろんな事情を抱えた方の就業を支援されている状況を知ることができました。
さらに、社長さんは作業をされている方たちを連れて「作っている土産物が売られているところを実際に見に行こう」と観光地へ見学に行ったそうです。そこで自分たちで完成させた土産物が店頭に並んでいるのを見つけ、お客さんが手に取って購入しているところを目の前で見ることができたのが嬉しくて、思わず自分たちもお小遣いでその商品を購入している姿を見たとき「この子たちと仕事をして本当に良かったと感じ
た」という話を社長さんから聞くことができました。(この話を思い出すだけで私も目頭が熱くなります)
私はかつて短期間ではありましたが、社会保険労務士になってから収入が不安定な時に日用品を作る工場に日雇いのアルバイトに行きましたが、自分が手に取る商品を消費者の方が手にする姿を想像するようなことは、労働環境に不満を感じながら働いていた私には決してできませんでした。ですから私が経験することのできなかった「ものづくりに対する思い」を今回聞くことができたこと、その話を教えてくださった社長
さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
「ものづくりに対する思い」のみならず、営業や販売などどんな業種であっても顧客に喜んでもらうための努力や気遣いを怠らないことを従業員さんに日々教え、伝えることができるかどうかは経営者や管理職の腕次第であると感じます。同時に従業員さんが業務の中で疑問や不満を積もらせることがないよう労働環境の改善やコミュニケーションを含め対処していくことも当然重要になります。そのような積み重ねが最終的
には商品やサービスに対しての信頼と感動に繋がっていくのだと感じます。
~最後までお読みいただきありがとうございました~